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知って得する!不動産売却時の税金と節税のポイント 2024.02.12
マイホームの売却や不動産の相続に関連して、譲渡所得税が課せられるケースがあります。マイホームの売却や不動産の相続は一生のうちで何回もあることではないため、多くの人が戸惑うのではないでしょうか。本記事では、不動産売却時の譲渡所得税や節税のポイントについて、詳しく説明しています。
不動産の売却と所得税 : 税金の種類と計算方法
不動産の売却で発生する所得税と計算式について説明します。
不動産売却時の譲渡所得の扱いと課税の基準
不動産を売却して得た利益は所得とみなされるため、課税対象となります。サラリーマンに毎月支払われる給与所得や自営業者の事業所得、家賃や地代収入の不動産所得、宝くじがあたったときの臨時収入としての一時所得などと並んで、不動産の売却で得た利益は譲渡所得となります。譲渡所得は売却金額ではありません。売却金額から購入したときの価格や購入する際に要した費用(取得費)、売却するために要した費用(譲渡費用)を引いて、残った金額が譲渡所得です。不動産の取得費のうち建物の購入代金や建築費は、築年数に応じた減価償却費相当額を差し引いて算出します。相続した不動産の取得費がわからない場合は、売却金額の5%相当額を取得費として計算します。譲渡所得は所得税と住民税の課税対象です。給与所得や事業所得、一時所得は合算して計算する総合課税ですが、譲渡所得は分離課税です。
短期と長期の譲渡所得: 所有期間が税率に与える影響
譲渡所得に対する税額を計算するときの税率は、売却した年の1月1日現在でその不動産を何年間所有していたか、によって分けられます。
それぞれの計算式は次のとおりです。
・短期譲渡所得(不動産の所有期間が5年未満)
所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%=39.63%
・長期譲渡所得(不動産の所有期間が5年以上)
所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%=20.315%
・長期譲渡所(所有期間10年以上のマイホーム軽減税率)
譲渡所得6,000万円以下の部分:
所得税10%+復興特別所得税0.21%+住民税4%=14.21%
譲渡所得6,000万円超の部分:
所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%=20.315%
不動産売却の税金計算方法 : 実例を交えて解説
次の条件にて、不動産売却にかかる税金を算出してみます。
・売却価格4,000万円
・取得費3,400万円
・譲渡費用200万円
4,000万円−3,400万円−200万円=譲渡所得400万円
譲渡所得の400万円にかかる税金を、それぞれの計算式に当てはめてみましょう。
・所有期間5年未満の場合
400万円×39.63%=158万5,200円(所得税122万5,200円+住民税36万円)
・所有期間5年以上
400万円×20.315%=81万2,600円(所得税61万2,600円+住民税20万円)
・所有期間10年超(軽減税率の特例対象の場合)
400万円×14.21%=56万8,400円(所得税40万8,400円+住民税16万円)
所有期間5年未満か5年以上の差だけで、譲渡所得にかかる税金に大きな差がでています。極端な話、ほんの数日違うだけでも5年を超えると大幅に課税額が減る点に注目です。売却した年の1月1日で年数がカウントされる点に注意しましょう。例えば、ある年の4月1日に買った家を、5年後の5月1日に売った場合、売った年の1月1日現在ではまだ所有期間が5年未満という計算になります。翌年の1月1日を迎えた時点で5年以上となりますので注意が必要です。
節税対策と特例 : 不動産売却で使える知識
不動産の売却について、知っておくと得する知識を紹介します。
マイホーム売却の軽減税率や控除特例
前述のとおり、自分が住んでいたマイホームを売却した際に、その物件を10年以上保有していたことが証明できれば、長期譲渡所得の税額よりも低い税率で算出する軽減税率が適用されます。軽減税率が適用される譲渡所得6,000万円以下の税率は14.21%ですが、6,000万円を超える部分の税率は20.315%です。 その他、一定の要件を満たすと、居住用財産の3,000万円特別控除が受けられます。譲渡所得から3,000万円を控除できるため、節税効果は絶大です。前述の軽減税率との併用もできるため、譲渡所得をゼロにできるケースも多くなります。
3,000万円特別控除の適用要件は次のとおりです。
1. 下記のいずれかを満たすマイホームであること
a. 現在、主に住んでいる自宅である
b. 転居している場合、転居後3年目の年末までの売却である
c. かつ土地の売却契約締結が解体から1年以内であり、その土地を賃貸していない
d. 単身赴任の場合、配偶者が住んでいる建物である
2. 物件の買主が親族や配偶者、同族会社など、特殊な関係でないこと
3. 売却した年の前年、前々年に、3,000万円の特別控除またはマイホームの譲渡損失が出た場合の損益通算及び損失の繰越控除の特例の適用を受けていないこと
4. 売った年、その前年及び前々年に、マイホームの買い換えや交換の特例を受けていないこと
5. 売却した不動産に関して、固定資産の交換特例、収用等の特別控除などほかの特例の適用を受けていないこと
6. 災害によって売却する場合、住まなくなった日から3年後の年の12月31日までに売却すること
空き家売却の税金対策と注意点
空き家を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円が控除できる「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」という制度を利用できます。 しかし、全ての空き家が控除対象にはなりません。空き家の売却を検討する際は、以下の特別控除適用条件にあてはまるか、よく確認しましょう。
<適用条件>
(1) 相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋であること(※)
(2) 相続の開始の直前において当該被相続人以外に居住していた者がいなかったものであること
(3) 昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建築物を除く。)であること
(4) 相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと
(5) 相続の日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ、特例の適用期間である平成28年4月1日から令和9年12月31日までに譲渡すること
(6) 譲渡価額が1億円以下
(7) 家屋を譲渡する場合、当該譲渡時において、当該家屋が現行の耐震基準に適合するものであること、または解体されていること
※要介護認定等を受けて老人ホーム等に入所するなど、特定事由により相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった場合で、一定の要件を満たすときは、その居住の用に供されなくなる直前まで被相続人の居住の用に供されていた家屋(以下「従前居住用家屋」といいます。)は被相続人居住用家屋に該当します。
内容を分かりやすく要約してみました。
・亡くなる直前まで親(被相続人)が住んでいた家を相続する
・相続してから賃貸に出したことがない
・相続してから3年後の年末までに売却している
・売却金額は1億円以下
・家を譲渡する場合、耐震補強する必要がある。もしくは解体して土地を売却する
空き家控除の特例は適用条件がわかりにくく、難しい対応もありそうなので、不明な点があれば税務署へ問い合わせてみましょう。
譲渡所得税の節税ポイント
前述の3,000万円の特別控除の他に、取得費加算の特例も受けられます。譲渡所得税の金額は、以下の計算式で求められます。
課税譲渡所得金額=売却金額 – (取得費+譲渡費用) – 特別控除額
相続税を納め、相続した財産を売却した場合、一定の条件を満たせば取得費加算の特例が認められ、不動産売却による売却金額から差し引かれる取得費の金額が大きくなります。
結果として、課税譲渡所得の金額は小さくなり、譲渡所得税額が抑えられる仕組みです。取得費加算の特例が適用されるには、以下3つの条件を満たさなければいけません。
・相続や遺贈により財産を得た者であること
・財産を相続するにあたって相続税が課されたこと
・相続税の申告期限の翌日から3年以内に譲渡したこと
取得費に加算される金額の算出はやや複雑です。国税庁のWEBサイトを参考にしてみてください。
取得費加算の特例は、相続税を収めた人にだけ適用される点にも注意が必要です。
不動産売却の納税手続き : 確定申告から納税まで
確定申告から納税までの流れを説明します。
必要な書類と申告期間の確認ポイント
不動産売却後の確定申告で必要となる書類は次のとおりです。
①確定申告書B様式(第一表)
②確定申告書第三表(分離課税用)
③本人確認書類
④登記事項証明書
⑤譲渡所得の内訳書
⑥取得費用が確認できる領収書の写し
⑦譲渡費用が確認できる領収書の写し
⑧不動産購入時の売買契約書の写し
給与所得者の場合は加えて、源泉徴収票も必要です。不動産の譲渡による所得は、個別に計算して課税する「分離課税制度」となっているため、分離課税用の書式を使いましょう。 古い物件では、取得費用や譲渡所得が確認できる領収書や売買契約書を探すのは大変です。時間に余裕をもって早めに探しておきましょう。
税金の納付時期と方法の選択肢
不動産売却にまつわる税は種類が多く、混乱してがちです。各種税金と納付時期を一覧表にまとめました。
納付時期 | 納付方法 | |
印紙税 | 売買契約を締結したとき | 収入印紙を契約書に貼付して消印する |
登録免許税 | 登記申請したとき | 収入印紙で納付 |
譲渡所得にかかる所得税 | 引き渡し完了の翌年の確定申告後 | 確定申告後、納付書で納付 |
復興特別所得税 | 所得税と同じ | 所得税と同じ |
支払い時期を過ぎてしまうと督促状が届き、延滞金を請求される可能性があります。収める時期や納付方法はそれぞれ異なるため、あらかじめスケジュールを把握しておきましょう。
税理士や税務署への相談: プロフェッショナルのサポート活用法
不動産の売却にまつわる譲渡所得税の納付には、さまざまなパターンがあり、判断が難しいことが多々あります。そんなときは、税理士などの専門家に相談してみましょう。わからないままに進めてしまい、結果として正しく納税できなければ後々、指摘を受ける可能性があります。わからないことがあれば税務署の相談窓口も積極的に活用しましょう。
よくある質問と回答 : 不動産売却時の税金に関す疑問の解決
よくある質問と回答を3つ、ピックアップしました。
不動産の取得費は購入した時の金額全額ですか?
不動産の売却金額から差し引く取得費には、土地・建物の購入代金や建築代金、購入手数料の他に、設備費や改良費まで含まれます。建物は経年劣化によって価値が減少しますので、取得費は購入代金の合計額から減価償却費相当額を差し引いて計算しなければいけません。
譲渡所得税の計算式について知りたいです
譲渡所得の金額は、次のように計算します。
収入金額 -(取得費 + 譲渡費用) - 特別控除額=課税譲渡所得金額
収入金額は土地や建物の譲渡の対価として買主から受け取る金額です。金銭の代わりに物や権利などを受け取った場合は権利などの時価が収入金額になります。 特別控除額の項目は次のとおりです。
・収用等により土地建物を譲渡した場合・・・ 5,000万円
・マイホーム(居住用財産)を譲渡した場合・・・ 3,000万円
(被相続人の居住用財産(空き家)を譲渡した場合・・・ 3,000万円)
・特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合・・・ 2,000万円
・特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合・・・ 1,500万円
・平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡した場合・・・1,000万円
・農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合・・・ 800万円
・低未利用土地等を譲渡した場合・・・ 100万円
譲渡所得税の節税対策とポイントが知りたい
主に譲渡所得税の節税となるポイントは次の3つです。
・3,000万円の特別控除(マイホーム特例)
・買い替え特例
・譲渡損失の際の損益通算・繰越控除の特例
3,000万円の特別控除は、マイホームを売却したときに最大3,000万円の控除が受けられる特例です。居住期間が10年を超えていれば軽減税率も併用できる可能性があります。 借り換え特例は、旧自宅を売却したときに発生した譲渡所得の課税時期を新マイホームの譲渡時まで延長できる仕組みです。節税ではありませんが、便利な特例の一つです。 譲渡損失の際の損益通算・繰越控除の特例では、不動産所得で譲渡損失が発生したときに、給与所得や事業所得と相殺して納税税額を圧縮できます。
まとめ : 不動産売却時の税金の理解と対策で安心売却
不動産の譲渡所得にまつわる知識や手続きは、何かと細かいことが多く、戸惑がちです。何回も手続きするような内容ではないため、戸惑ってしまうのも無理はありません。譲渡所得が発生しそうなときは前もって、必要な手続きなどを確認しておきましょう。 いざとなると慌ててしまい、大きなミスを犯してしまうかもしれません。
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