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相続した空き家、どうなる税金【前編】 2016.05.24

 平成28年度の税制改正によって空き家対策がさらに強化されました。

 平成27・28年度の税制改正による空き家対策は、固定資産税等の優遇策を解除し売却や有効活用を促進するものと、売却時の特別控除を新たに創設し売却を促進するものと2通りあります。本日から2回シリーズで税制改正のポイントについて説明します。相続により空き家を取得された方は、このシリーズを良くお読みになってどうするのがベストかお考えください。もちろんご相談も承っておりますので、お気軽にお問合せください。特別な費用はかかりませんのでご安心ください。

 核家族化の進展に伴い、親と子供が同居する世帯は少なくなり、高齢者世帯が増え、高齢者の介護施設への入居などにより空き家が増えました。老朽化した空き家は、倒壊による事故や不審火による火災等の心配がつきまとい、場合によっては事故を招くことにつながります。

 そこで、平成27年度に空き家対策特別措置法が施行されました。空き家対策特別措置法とは、自治体が空き家を調査し、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態などと判断した場合、「特定空き家」と認定し、修繕や撤去の指導や勧告、命令ができます。命令に従わなかった場合には、行政が強制的に撤去し、かかった費用を持ち主に請求できる「代執行」も可能としています。

(1) 固定資産税:住宅用地の特例不適用

 「特定空き家」については、固定資産税の住宅用地特例が不適用となります。住宅が建っている土地の固定資産税は、住宅用地特例によって本来の6分の1まで軽減されます。しかし、この優遇措置がなくなり、土地の固定資産税が最大で6倍に跳ね上がります。

(2) 相続税:小規模宅地の評価減不適用

 特定空き家の敷地は相続税上も小規模宅地特例の対象外の更地の評価となり、一般の住宅用地<居住用の土地>より評価の高い土地となります。従って高額な相続税を支払わなければならなくなります。

(3) 譲渡所得税:居住用財産の3,000万円特別控除の適用期限

 老人ホーム入居などで家屋が空き家になった場合、特別控除を適用するには住まなくなった日から3年目の年の12月31日に譲渡されていることという要件があります。空き家になれば速やかに譲渡を考えなければなりません。

 ここまでは、空き家になったら早めに処分若しくは有効活用することを考えた方が良いですよというお話しでした。次回は、新たに創設された売却時の税制の優遇措置についてご説明します。