親から相続したマンションが売れない理由は?相続放棄や売却対策などを解説 2025.08.25

<この記事を読んでもらいたい方>
●相続した親のマンションが売れなくて不安
●売れないマンションを所有し続けるリスクは?
●売れないマンションを売るための対策は?
親からマンションを相続したが、そこに住む予定がないため、売却を考えている方は少なくないでしょう。
また、ただ売り出しても必ず売れるとは限らず、買い手があらわれないケースも珍しくはありません。
売り出してから数か月経っても買い手があらわれないときは、なぜ売れないのか、その原因を探る必要があります。
<この記事でわかること>
●相続したマンションが売れない理由
●そのまま放置した場合のリスク
●どうしても売れない場合の対処法
はじめに
相続した親のマンションが売れずに空き家のまま所有していると、様々な問題やリスクが発生する心配があります。
リスクを回避するには、放置したままにせず、何をすべきかを考えなければいけません。
なぜ売れないのか、まずはその理由を探るところから始め、それにあった対策を施していきましょう。
では、親のマンションが売れない理由と売るために何をすればよいのか、また売れないまま放置したときのリスクなどを解説していきます。
親から相続したマンションが売れない主な理由
親から相続したマンションが売れない場合、そのまま放置していても問題は解決しません。
売るためにはまずそこにある理由を探っていく必要があります。
ここではよくある売れない理由を5つ挙げて紹介していきます。
価格設定の見直し
マンションの売り出し価格は、不動産会社の査定額を参考にして最終的には売主が決めていきます。
そのため売主の事情や希望が価格に反映されやすくなり、市場の相場とかけ離れた価格になるケースも少なくありません。
中古マンションの購入を検討している方は、物件の状態と価格とのバランスを見て、できるだけお得な買い物をしたいと考えているはずです。
つまり売り出し価格が相場とかけ離れて高ければ、価格を見た時点で候補から外してしまう購入希望者が多くなるのは必然でしょう。
管理状況に問題がある
マンションには部屋などの専有部分と、廊下やエレベーター、エントランスなどの共有部分があります。
購入希望者は専有部分だけでなく、共有部分も含めてその物件の価値を見定める傾向にあります。
エントランスや廊下にゴミが落ちていたり、汚れがあったりすると管理が行き届いていないと判断される可能性があります。
他にも電灯が切れている、自転車の置き方が乱雑、管理費の滞納が多いなど管理が行き届いていない物件は買い手がつきにくくなるでしょう。
立地が良くない
マンションは戸建て住宅以上に立地のよさが求められる物件です。
駅から離れていたり、バス停が近くになかったりするとそれだけで候補から外されてしまう可能性が高くなります。
また駐車場の確保も重要で、敷地内にスペースが取れないときは、別に駐車場を探す手間と費用がかかるため、敬遠される傾向にあります。
他にもスーパーマーケットや病院、銀行や郵便局など生活するうえでの利便性も重視されるポイントです。
周辺環境が整っていない
立地自体はよくても、周辺環境に問題があれば売れない理由となるケースもあります。
たとえば近隣に火葬場や墓地、反社会勢力の事務所などがあると、売れない理由にもなりかねません。
他にも工場の騒音や悪臭、大型トラックの通行による振動なども生活の質を下げる可能性があり心理的に敬遠される物件です。
不動産会社が積極的でない
不動産を売却するときは、不動産会社と媒介契約を結びますが、契約には一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3種類があります。
専任媒介契約と専属専任媒介契約の場合は、特定の一社による媒介(仲介・販売活動)となるため、不動産会社も積極的に動いてくれて、活動状況の報告も義務付けられているため早期の売却が叶いやすくなります。
一方で、まれなケースではありますが、一般媒介契約は複数社による媒介となるため、販売活動も積極的でなくなるケースも少なからずあります。
売れないまま放置してしまったときのリスク

親からマンションを相続したが、売れないからと放置している方も、少なくはありません。
放置したからといってすぐに問題が起こるわけではありませんが、将来的にリスクを抱えるのは確実です。
ここでは放置してしまったときのリスクを紹介していきます。
維持費の負担
不動産の所有者は固定資産税の納税義務を負い、放置しているマンションであっても例外ではありません。
マンションも戸建て住宅と同様に、建物と土地の双方に課税され、所有している間は毎年支払い続けなければいけません。
また、マンションは戸建て住宅と違い、管理費と修繕積立金の支払いも毎月発生します。
当然、そこに居住していなくても支払いの免除はなく、放置期間が長くなるほど費用の負担は積み重なっていきます。
建物の劣化
家は人が住まなくなると、換気や掃除が不十分となり、劣化が急速に進んでいく傾向にあります。
損傷があっても修繕がなされずにいると、損傷が広がることもあり、何らかの被害が発生することがあります。
また、ホコリがたまると、ダニやゴキブリなどが住み着いて環境はさらに悪化するでしょうし、通電している場合には火災の原因にもなりかねません。。
水回りも使用しないと、水道管や排水管の内部が乾燥し劣化が進みやすくなります。
バルコニーでは鳥の糞や風で飛んできたゴミが溜まり、悪臭を放つケースもあり、排水口が詰まってバルコニーに水がたまり、階下に漏水することもあります。段ボールなどを放置していると害虫が発生することもあります。
空き巣の問題
長い間、空き家状態になっているマンションは、空き巣犯から見ると絶好のターゲットです。
また、不審者が勝手に住み着いたり、ゴミの不法投棄があったりなど治安面での問題が発生するおそれもあるでしょう。
不審者が出入りするようになると、そこで犯罪行為が行われる可能性も高くなり、思わぬ事件に巻き込まれるかもしれません。
資産価値の低下
売れないからといって、空き家のまま放置していると物件の劣化は著しく進み、資産価値が低下する可能性があります。
そのようなマンションは、売却できたとしても市場の相場価格で売れるとは考えられません。
内覧できる状態にする際にも、大がかりなクリーニングが必要となり、費用面での負担も大きくなります。
相続トラブル
親からマンションを相続した相続人が亡くなれば、そのマンションはその子など次の相続人に引き継がれます。
売れないマンションを相続すると、固定資産税や管理費などの負担義務も引き継がなければなりません。
そのため相続人の間で誰が相続してその義務を負うのか、争いが起こる可能性もあり、親族間で訴訟にまで発展するケースもあります。
売れないマンションを相続放棄できる?
売れないマンションは税金や管理費など相続人の金銭的な負担が大きいため、相続自体を放棄したい方も少なくないでしょう。
ここでは相続放棄とはなにか、そしてすでに相続しているケースでの、相続放棄も含めて解説していきます。
相続放棄とは
相続放棄とは、相続の発生時に資産や権利などをすべて引き継がず、放棄する手段をいいます。
相続時の財産には不動産や現金などプラスの財産だけでなく、借金などマイナスの財産も含まれるため、その内容によっては負債を抱え込むこともあるでしょう。
マイナスの財産のほうが多いとき、相続放棄をおこなえば債務の引継ぎは消滅します。
ただ相続放棄はすべての財産に対しておこなわれるため、プラスの財産の相続権利も放棄しなければいけません。
売れない親のマンションは、持っているだけで費用が発生するため、マイナスの財産ととらえてもいいでしょう。
相続放棄をするには、被相続人が住んでいた地域を管轄する家庭裁判所への申述が必要で、相続の開始を知った日から3か月以内に行わなければいけません。
相続放棄が認められると、相続人の地位を喪失し、初めから相続人ではなかったとの扱いになります。
親からマンションを相続した場合に相続放棄はできるのか
売れない親のマンションをすでに相続している場合は、相続(所有権)の放棄は認められません。
相続放棄は相続する前の段階でなければ認められず、相続のタイミングで放棄をおこなう必要があります。
相続放棄は無理でも、所有権を放棄すれば税金などの負担がなくなると考える方もいますが、現時点での法律では所有権の放棄はできません。
また国庫へ帰属させる方法もありますが、あくまでも相続人が不在のケースのみ可能で、さらに対象となるのは土地のみのためマンションは対象外となっています。
親から相続したマンションがどうしても売れないときの対策

親から相続したマンションがどうしても売れない場合、どうすればよい良いのか所有者は困り果ててしまうでしょう。
では売れないときの対処の仕方を4つ挙げていきますが、効果的な対処法を見つけるには専門家とともに考えていくのも1つの方法です。
売り出しのタイミングを変える
不動産業界にも閑散期と繁忙期があり、まず閑散期は真夏にあたる8月、また新生活スタート直後の5月です。
一方、入学や就職、転勤などで新たな生活が始まる4月に入居が間に合うよう、2月から3月にかけてが不動産業界の繁忙期で、中古マンションの需要も高まります。
つまり市場の需要にあわせた売り出しをおこなうと、売れる可能性も高くなるため、閑散期に売り出しをしている場合、タイミングの見直しを検討するのも良いでしょう。
売り出し価格の見直し
売り出し価格は不動産会社の査定額をもとに売主が決めていきますが、買い替えの資金が必要なため売却希望額がある場合、その額が反映されやすくなります。
そのため売り出し価格は市場の相場価格からかけ離れた価格になってしまうことがあります。
マンションが売れない場合、売り出し価格に問題があるケースも多く、相場価格まで下げるのも1つの方法でしょう。
ただし売れないからといって、むやみに下げ過ぎると事故物件など問題がある物件だと警戒されてしまうため、適切な価格の設定は専門家に相談して決める方が無難です。
ハウスクリーニングや修繕をおこなう
内覧の希望者は多いのに、そこから成約にいたらない場合は、部屋の状態に問題がある可能性もあります。
とくに築古の物件では水回りを中心に劣化や不具合が見て取れるケースが多く、内覧希望者が持つ印象に良い影響を与えません。
安易な大規模リフォームは売り出し価格が高くなるためお勧めできませんが、掃除や修繕により内覧時の印象は大きく変わってきます。
専門家のアドバイスを受けながら、買い手や市場のニーズに合った簡単なリフォームやハウスクリーニングをおこなうのことがお勧めです。
物件のアピール不足
内覧の希望者が少ない場合、物件の魅力が十分に伝わっていない可能性があり、機会逸していることがあります。
物件の情報はインターネットで閲覧する方がほとんどで、サイトでのアピール不足は内覧者の数に直接響いてきます。
内覧者を増やすには、サイトの閲覧者に興味を持ってもらえるよう、物件の画像や掲載情報量の見直しが必須で、マンション売却に実績のある専門家に依頼するといいでしょう。
まとめ:相続した親のマンションを売るならアラウズへ

親から相続したマンションが売れない原因は1つだけではなく、様々な要因が絡んだうえでの結果です。
1つ1つの原因を洗い出し、それに合った対策を施すには、個人だけの力では難しいため、弊社と一緒に考えていきましょう。
アラウズは士業との結びつきが強く、相続のお悩みにも迅速に対応でき、相談も無料で行っております。ヒアリング重視で強引な営業はなく、お客様に寄り添った提案をさせていただきます。
ぜひお気軽にお問い合わせください。

吉田 健一(有限会社アラウズ 代表取締役)
プロフィール
宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/
相続支援コンサルタント(日管協)/不動産キャリアパーソン(全宅連)
宅地建物取引業者・賃貸住宅管理業者である有限会社アラウズの代表取締役として長年の経験を生かして土地建物の利活用の提案、
売買や賃貸住宅等の管理業務などに幅広く対応し、相続の生前対策や財産分与・処分などについて提携税理士や法律家とともに多くの相談を受けている。
また、公益社団法人宮城県宅地建物取引業協会の業務執行理事を務める。