不動産を売却する時に必要な書類・手続きをまとめてみました! 2024.05.28
不動産売却には、様々な書類や手続きが必要です。
特殊なケースや難しい取引きの場合には、必要な書類や手続きがさらに複雑化することがあります。
そこで、本記事では特殊なケースにも対応し、不動産売却時に必要な書類や手続きについて解説します。
1. 不動産売却に必要な書類と取得方法
不動産を売却する際に必要な書類を段階別にまとめました。
・不動産会社に売却を依頼する時に用意すべき書類
・売買契約を締結する時に必要となる書類
・引き渡し時に必要な書類
・確定申告に必要となる書類
1-1. 不動産会社に売却を依頼する時に用意すべき書類
基本的に売却依頼時に必要な書類は不動産会社が教えてくれるので、心配する必要はありません。
一般的に必要とされる書類を一覧表にまとめてみましたので、売却をお考えの方は参考にしてください。
登記簿謄本 | 不動産の登記事項が詳細に記載され、その内容を証明するもの 法務局で申請して取得する |
売買契約書 | 売却する不動産を購入した際に、売主と交わした契約書 譲渡所得を計算するために必要 |
購入時の重要事項説明書 | 物件の内容、取引条件、告知事項など、売買契約に必要な情報が記載されている書類 |
登記済権利証または登記識別情報通知書 | 登記名義人がその物件の所有者であることを証明する書類 法務局が登記名義人に交付する |
土地測量図・境界確認書 | 土地や建物の売買に必要な書類 土地の面積や境界線の位置などが記載されている |
固定資産税納税通知書 固定資産評価証明書 | 固定資産評価額、税額を確認するために必要 価格の設定や所有権移転の際の登録免許税を算出するために必要 |
物件の図面 設備の仕様書 | 不動産会社が物件資料を作成しやすくなる 詳細な情報は、買い手の購入意欲を向上させやすい |
建築確認済証、及び検査済証 | 建物の売買の際に必要な書類 検査に適合した物件であることの証明するため |
建築設計図書 工事記録書 | 設計の意図や工事の内容が確認できる書類 建物全体の強度を確認することができる |
マンションの管理規約・使用細則等 | マンションの売却に必要な書類 管理費や修繕積立金に関する規則も記載されている |
耐震診断報告書 アスベスト使用調査報告書 | 耐震診断を受けている場合はその報告書 アスベストに関する調査も同様 |
以上の書類は、査定依頼の前に全て揃える必要はありません。また必ずしもすべてが必要とは限りません。
そもそも無いもの、紛失したものがあっても代替の書類で足りることもありますし、新たに作成することで足りるものもあります。不動産会社から書類提出を求められた時に、相談しながら用意しましょう。
1-2. 売買契約締結時に必要となる書類
売買契約時に必要な書類は、付帯設備表および告知書です。
付帯設備表とは、物件と一緒に引き渡す設備の状態を記した表のことを言います。
基本的には、インターフォンや浴室乾燥機など、建物に備え付けられた設備の有無や、正常に使用できるか等の状況が記載されます。
エアコンや温水洗浄便座などをそのまま置いていく時は、設備の有無や残置の状態も記載しなければいけません。
告知書は、周辺環境や過去に起きた事象(水害・火災や事件、事故)について記載が求められる書類です。書類の準備は不動産会社が行いますが、告知は売主が行います。
また、売主が反社会的勢力、もしくはその関係者に該当しないことを誓約する書類などを作成することもあります。
1-3. 引き渡し時に必要な書類
売買契約を結んだ後の引き渡しの際に、売主が準備する必要書類を一覧表にまとめました。
本人確認書類 | 運転免許証 パスポート マイナンバーカードなど |
実印と印鑑証明書 | 本人確認のために必要な書類 物件の所有者が複数いる場合は、全員の書類を揃える必要があります |
住民票 | 登記簿に記載されている住所と現住所が異なる場合には、変更登記のために必要な書類 |
銀行振込先がわかる情報 | お金の受け渡しの際に必要な情報 |
ローン残高証明書 ローン返済予定表 | 住宅ローンの残債がある場合は、残債の総額を確認するために必要 ローン残高がある人のみ、提出する。 |
その他、相続登記が未了の物件については、さらに多くの書類が必要となります。
不動産会社の専門家から適宜確認と相談がありますので、都度対応してください。
1-4. 確定申告に必要となる書類
不動産の売却に伴い利益が出た場合は確定申告が必要です。不動産の譲渡所得税の確定申告の際に、必要な書類をまとめました。
確定申告書B | 事業所得や不動産所得がある人が使用する申告書 |
確定申告書第三表 | 不動産の譲渡などによる所得があった場合、ほかの所得とは分けて確定申告書第三表に記載する |
譲渡所得の内訳書 | 不動産の売却によって利益が出た場合は、本書類に記載の上、利益の申告が必要 |
売買契約書の写し | 取引の内容が記載された契約書 |
物件の取得費用を証する書類 | 不動産を購入した時に作成した売買契約書や代金の領収書、その他購入に要した費用の領収書 購入時の売買契約書は、取得費用を算出する時に使われる |
2. 特殊なケースにおける必要書類
以下の特殊なケースの取引の際に必要となる書類をまとめました。
・相続した不動産の売却時に必要な書類
・住宅ローンの残債がある場合の必要書類
・マンション売却時の運営管理費等の調整に関わる書類
2-1. 相続した不動産の売却時に必要な書類
相続登記が完了している不動産を売却する時の必要書類は、通常の不動産売却と同様です。
必要書類は次の7点です。登記が未了の場合には、前述のとおり不動産会社の専門家と相談しながら書類を用意してください。
・印鑑証明書
・実印
・本人確認書類
・登記済権利証か登記識別情報通知書
・建築確認済証と検査済証
・固定資産評価証明書(税額表記を含むもの)
・土地測量図・境界確認書
固定資産税は1月1日時点の名義人が1年分の納税をすることになっています。そのため、所有者名義が変わるとその日を基準に税負担を按分することになります。
固定資産税額の証明書は按分する税額を計算するために必要になります。
2-2. 住宅ローンの残債がある場合の必要書類
住宅ローンの残債がある場合、ローン残高証明書およびローン返済予定表が必要です。
住宅ローンの残高説明書は、年末時点で住宅ローンがいくら残っているのかを証明するための書類のことを言います。
住宅ローンの返済中でも売却はできますが、金融機関に残債を一括返済して抵当権を抹消することになります。
買い替えの場合、次のローンと一体化できる住み替えローンを使うことも可能です。
ローンの残高証明書に記載されている内容は次の通りです。
・借り入れしている人の住所と氏名
・借入金の内訳
・住宅借入金の年末残高
・住宅借入金の当初残高
・償還期間と住宅取得対価などの額
2-3. マンション売却時の運営管理費等の調査に関わる書類
マンションを売却するときには、マンションの管理規約や使用細則の他、重要事項の調査に関する報告書、維持費関連書類が必要です。
それぞれの書類から、ペットは飼育できるのかなど、生活の上で必要な情報を取得できます。
管理費や修繕積立金は、買主がこれから負担する費用です。月々の支払いに直結するため、管理費と修繕積立金の費用は、購入の決め手としても重要な要素です。
3. 不動産売却の書類作成時の注意点とトラブル回避策
不動産売却に関連する書類作成時のトラブル回避策について、4つのポイントにて説明します。
・重要事項説明書の記載事項の確認
・印鑑証明書等に関する注意事項
・境界確認に関する書類の作成
・不動産売却の際の税金に関する事項
3-1. 重要事項説明書の記載事項の確認
売買契約を締結するには、重要事項説明書の取り交わしが必要です。
重要事構説明書のチェックすべきポイントをまとめました。
項目 | 内容 | チェックすべき内容 |
代金以外に必要なお金について | 契約時の手付金など | 費用の用途や、必要金額の確認 手付金等は保全措置の有無、保全方法を確認 |
契約解除について | 手付解除 | 買主からは手付の放棄、売主からは手付金を返却した上で、同額の金員を支払って契約を解除できる |
契約違反による解除 | 売主が期日までに建物を引き渡さない、買主が期日までに代金を支払わないなどの場合は、契約解除に合わせて違約金の請求ができ、その額は売買代金の20%などと、あらかじめ金額を定めることが一般的 違約金の規定 | |
ローン特約による解除について | 取扱金融機関名や借入金額、金利などきちんと明示されているか 予定していた住宅ローンが借りられなくなった場合の契約解除に関する規定 | |
供託や保険加入について | 供託所について | 仲介する業者が法に定める営業保証金を供託しているか、又は保証協会に所属しているかなどその資力を確認 |
「その他」または「承認事項」について | その他、購入者が事前に知っておくべき内容 | 工場や墓地などの周辺の嫌悪施設、生活上のルール、判明している設備不備について 向いや隣りの空き地に、高い建物が建つ計画はないか?など |
3-2. 印鑑証明書等に関する注意事項
印鑑証明書の書類としての有効期限は3ヶ月です。従って、所有権移転登記の期日から3ヶ月以上前に取得した印鑑証明書は使用できません。スケジュールに合わせて取得しましょう。不動産会社の専門家が用意すべき時期を教えてくれます。
3-3. 境界確認に関する書類の作成
境界確認に関する書類には、境界確認書があります。境界確認書とは、隣の土地との境界をはっきりさせるために測量を行い、両者が境界の位置を互いに確認して、その結果決定した境界を証明するための書類のことです。
正しい境界が記載された図面のことを境界確定図と言います。
境界を決める時は、はじめに登記簿や地図、公図など、法務局や役所に保管されている資料を元に、その土地や周辺を調べて測量し、境界点に仮杭を設置します。
その後、境界を定めるにあたって、関係のある隣の土地の所有者や役所の担当者立ち合いのもと、現地で境界を確認して双方納得の上で境界標識を設置します。
境界の印を立てたら境界確定図と境界確認書を作成して、署名・押印してもらいます。
3-4. 不動産売却の際の税金に関する事項
不動産売却に関する税金には、譲渡所得税や固定資産税などがあります。
1. 譲渡所得税
不動産を売却した場合、売却益に応じて譲渡所得税が課税されます。
譲渡所得税の計算や申告には、売買契約書や譲渡所得税の申告書(所得税法第164条)などの書類が必要です。
譲渡所得税は、不動産を売却した際に譲渡所得税の申告と納税を行う必要があります。
2. 固定資産税
不動産を所有している期間中に固定資産税を支払っている場合、売却時に固定資産税の清算が必要です。
固定資産税の清算には、固定資産税の課税証明書や売買契約書などの書類が必要です。
これらの税金に関する事項は、売却する不動産の状況や法令によって異なる場合があります。税務署や専門家(税理士や弁護士)に相談し、適切な手続きを行うことが重要です。
4. まとめ ~ 不動産売却時の書類準備でスムーズな取引を実現
不動産の売却には様々な書類が必要です。不動産会社へ売却を依頼するときに、必要な書類は一通り教えてもらえますが、事前に慌てずに済むようにあらかじめ用意しておきましょう。
不動産売却は面倒な手続きが多いため、できることはある程度前倒しで進めた方がスムーズに取引できます。
当社では不動産売却に関わる手続の全てをサポートいたしますので、難しく考えずにお気軽にお問い合わせください。