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特別控除で不動産売却をお得に!要件・方法を徹底解説 2024.05.03

 不動産の売却に伴い課せられる税金は、取引される金額の大きさから、利益が出た場合には見過ごすことができない大きな金額になります。

 一方で、不動産売却にかかる特例や特別控除が用意されている点もよく認識しておきましょう。

 本記事では、不動産売却時の特例について、詳しく紹介しています。

住宅や土地売却時の特例と適用条件

不動産売却時に適用される代表的な特例とその適用条件を詳しく紹介します。

 ・居住財産の3,000万円特別控除

 ・10年超の居住財産を譲渡した場合の軽減剤率特例

 ・特定居住財産の買い替え特例

居住用財産の3,000万円特別控除

 マイホームなどの居住用財産を売却した場合、所有期間の長短にかかわらず、譲渡所得から3,000万円を控除できます。いわゆる3,000万円特別控除の特例です。

 この特例を使えば、5,000万円で購入したマイホームを8,000万円で売却して利益が3,000万円出たとしても、課税譲渡所得がないため譲渡所得税が課せられることはありません。

 特例の有無によって収める税金の金額にかなりの違いが出てきますので、住んでいた土地・建物を売却したときは、適用要件に合致するか、よく確認しましょう。

特例を受けるための適用要件

 ・自分が住んでいる家屋または家屋と土地の売却

 ・以前住んでいた家屋または家屋と土地の場合、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却

 ・家屋を取り壊した場合、取り壊した日から1年以内に土地売買契約を締結し、かつ住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却

 ・家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日までに、貸駐車場などとして利用していないこと

 ・親族間での売買でないこと

 特別控除をつかって税金がゼロになった場合でも、特例を使う場合には確定申告が必要です。土地を売却した翌年の2月16日から3月15日までの間に必要書類を添えて確定申告をしましょう。

10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率特例

 家屋が壊された年の1月1日時点で所有期間が10年を超えている場合など、自分が住んでいたマイホームを一定の条件をクリアして売却した場合、長期譲渡所得(所有期間5年超)の税額よりもさらに低い税率で課税金額を算出できます。

 5年以上の長期保有でも、所得税率は30%から15%と安くなりますが、10年を超えると税率は10%まで下げられます。

 所有期間は売却した時点ではありません。売却した年の1月1日時点が基準です。例えば2010年8月1日から所有していた家屋と土地を、2020年8月2日に家屋を取り壊して9月1日に土地だけ売却した場合、制度上、2020年1月1日時点で所有期間が10年を経過していないため、特例は適用外です。

 軽減剤率の特例を適用するには、以下の要件を満たす必要があります。

特例を受けるための適用要件

 ・自分が住んでいる家屋または家屋と土地の売却

 ・以前住んでいた家屋または家屋と土地の場合、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却

 ・家屋を取り壊した場合、取り壊した日から1年以内に土地売買契約を締結し、かつ住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却

 ・家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日までに、貸駐車場などとして利用していないこと

 ・親族間での売買でないこと

 内容は、前出の居住財産の3,000万円特別控除と同じです。

 10年超の居住用財産を譲渡した場合の特例は、居住用財産の3,000万円特別控除との併用ができます。

 10年を超えて住んでいた家屋または家屋と土地を売却する場合、両方の特例が適用できるか事前に確認しておきましょう。

特定居住用財産の買い替え特例

 買い替え特例は、住んでいたマイホームを令和7年12月31日までに売却して、変わりのマイホームを手に入れた時に、譲渡益を将来へ繰り延べできる特例です。

 例えば1,000万円で購入したマイホームを5,000万円で売却して7,000万円のマイホームに買い替えた場合、4,000万円の譲渡益は課税対象となります。買い替え特例を使うと、7,000万円で購入したマイホームを売却するまでは、譲渡益に対する課税を繰り延べできます。

 税金を支払う時期が先に伸びるだけの特例なので、メリットを感じるケースは少ないかもしれません。納税以外に出費が多い場合や、他の課税との兼ね合いで所得を減らしたいときに有効活用できます。

 特例を受けるための適用要件は以下のとおりです。

特例を受けるための適用要件

 ・自分が住んでいる家屋または家屋と土地の売却(居住期間と所有期間はともに10年を超えていること

 ・以前住んでいた家屋または家屋と土地の場合、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却

 ・売却代金が1億円以下

 ・家屋を取壊した場合、取り壊した日から1年以内に土地売買契約を締結し、かつ住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却

 ・家屋を取壊して譲渡契約を締結した日まで、貸駐車場などとして利用していないこと

 ・親族間の売買ではないこと

 ・買い替える建物の床面積は50㎡、土地面積は500㎡以下

 ・マイホームを売った年の前年から翌年までの3年間にマイホームの買い替えを完了していること

 ・買い替えるマイホームが中古の場合、取得日から25年以内に建築されているか一定の耐震基準をクリアしていること

住宅売却時以外の特別控除条件 

 該当するケースは少ないかもしれませんが、住宅売却時以外の特別控除条件をいくつか紹介します。

 ・平成21年と22年に取得した土地などの保有期間が5年以上の場合1,000万円控除

 ・公共事業などのために土地建物を売却した場合の5,000万円特別控除の特例

 ・特定土地区画整理事業のために土地を売った場合の2,000万円の特別控除の特例

平成21年と22年に取得した土地などの保有期間が5年以上の場合1000万円控除

 平成21年に取得した土地を平成27年以降に譲渡した場合、もしくは平成22年に取得した土地を平成28年以降に譲渡した場合に土地の譲渡所得から最大1,000万円控除できます。

 特例を受けるための要件は次のとおりです。

特例を受けるための適用要件

 ・平成21年に取得した土地を平成27年以降に譲渡した、または、平成22年に取得した土地を平成28年以降に譲渡していること

 ・親族間の売買ではないこと

 ・相続、遺贈、贈与、交換、代物弁済及び所有権移転外リース取引によって取得した土地ではないこと

公共事業などのために土地建物を売却した場合の5,000万円特別控除の特例

 公共事業などの理由で土地や建物を売却した場合、譲渡所得から5,000万円控除できます。譲渡が2年に渡って行われた場合は、最初の年のみ適用となります。

特例を受けるための要件は次のとおりです。

特例を受けるための適用要件

 ・売った土地や建物が固定資産であること

 ・当年に公共事業のために売った資産の全部について収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例を受けていないこと

 ・最初に買取りなどの申し出があった日から6カ月を経過した日までに土地建物を売却していること

 ・公共事業の施行者から最初に買取り等の申し出を受けた者が譲渡していること

特定土地区画整理事業のために土地を売った場合の2,000万円の特別控除の特例 

 個人が所有する土地を国土交通省による市街地まちづくり活性事業などのために売却した場合、譲渡所得金額から2,000万円まで控除できます。

 譲渡が2年以上に渡って行われた場合、適用されるのは最初の年だけです。

特別控除申請の手続きと必要書類

 特別控除を申請するときは、確定申告が必要です。確定申告時に必要な書類などを詳しく説明します。

翌年に確定申告をする 

 特別控除申請をする場合、売却の翌年2月16日〜3月15日の間に確定申告を行います。特別控除にて納税額がゼロ円になる場合も申告は必要です。

 ややこしい申告の場合、税務署や無料相談会場で個別に相談できるので上手く活用しましょう。

 申告手続きがどうしてもわからない場合、税理士にスポットで依頼することもできます。

必要な書類

 確定申告の際に必要な書類は次のとおりです。

 ・土地・建物用の譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)

 ・今までの住所が記載されている戸籍の附票の写しなど

 ・売買契約書のコピーと購入時・売却時の費用の領収書

 土地・建物用の譲渡所得の内訳書は、税務署や国税庁のWEBサイトなどで入手できます。相談会場に用意されていることも多いです。

 戸籍の附票は住所が異なるときのみ、必要になります。

 確定申告では見慣れない書類が必要になるため、集めるのに時間がかかります。状況や物件次第で必要な書類が違うこともありますので、確定申告の準備は早めに取り掛かるようにしましょう。

特別控除と他の税金控除の併用方法

 マイホーム売却、または買い替えと併用できる特例を2つ紹介します。

空き家特例との併用

 相続した空き家を譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例と、マイホーム売却、買い替え時の特例措置は併用できます。

 マイホームの売却特例と買い替え時の特例の両方を併用することはできないため、どちらか一方を選ばなければいけません。

 マイホーム売却3,000万円特例との併用では、同一年内に適用する場合、2つの特例を合わせた3,000万円が上限です。

 その他、所有期間5年を超える長期保有の軽減税率特例との併用もできます。

住宅ローン控除と併用できるケース

 住宅ローン控除は、売却損が出た時に利用できる「居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」と併用できます。

 譲渡損失の損益通算特例は、次のケースに該当する場合、損失が出た金額を給与所得などの他の所得から控除できるものです。

 ・住宅ローンの残債があるマイホームを売却した場合に、売却価格が住宅ローンの残債よりも低い場合

 ・マイホームを売却した後に新居を購入したケースで、売却したマイホームに譲渡損失が出た場合

 売却損が出た場合、源泉徴収の還付と住宅ローン控除による所得税控除の両方を適用できます。

まとめ

 特別控除を活用して不動産売却をお得にする方法について詳しく解説しました。居住財産の3,000万円特別控除や10年超の居住財産を譲渡した場合の軽減税率特例、特定居住用財産の買い替え特例など、様々な特例が用意されています。これらの特例を活用することで、売却時にかかる税金を大幅に軽減することが可能です。

 ただし、特例を適用するための要件を満たしているか確認し、確定申告を行う必要があります。特別控除を上手に活用して、売却時の税金を抑えるようにしましょう。